10分で幸せ☆月曜「昼」の恋愛小説~森川朔椰~

Posted on 2017/10/09 by おうちカフェスタイルマガジン

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結婚式前夜



「栞さぁ~来月の大安吉日あたりってヒマ??」
「は?なにそれ?」
「てか、来月の大安吉日が何日か知らないし(笑)」
「そりゃ、そうだ(笑)」
「で、何なの?大安吉日に何があるわけ??」
「あ~友達の結婚式」


10月のとある大安吉日前日(笑)私と拓也が降り立ったのは、拓也が大学時代に住んでいた街。
早速、懐かしい顔に出くわしたらしい。

「お?拓也!!」
「よう」
「明日の式に出るのか?」
「そうだよ」
「俺はお前が愛子と結婚するものだと……」

そこまで言いかけたその人は、拓也の隣に私を認めて黙ってしまった。
そして、そそくさと立ち去った。

(なるほど?新婦は元カノなわけね…)

拓也は言い訳するでもなく
「栞、こっちこっち」
そう言うと手をひっぱって歩き出す。

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宿に荷物を置いて、私たちは外に出た。
「ねぇ?拓也が通っていた大学に行ってみたい」
私の提案で、彼が案内してくれることになったのだ。

かつて彼が歩いた道を、2人でゆっくり巡ってゆく。
たまり場だった喫茶店。
テスト勉強した図書館。
バイト先のビデオショップ。
仲間たちと花火を見た土手。

そして……明日の主役である新郎新婦と彼が出会った大学に到着。


「愛子さんとキスした場所はどこ?連れていって……」
唐突なわたしの要求に、拓也は何も言わずに手を繋ぎ直して歩き出す。
急に黙ってしまった私を、彼は問いただしたりしない。
拓也のそんなところが、嫌いだけど好きだ。


「……着いたよ」
彼が立ち止まって、眩しそうな顔で言った。

「……ふぅ〜ん、ここね……」
声が上ずってしまった私は、照れ隠しに拓也の腕を取って振りまわす。
そして、ぐるっと周りを見渡そうとした瞬間

……彼の唇が落ちてきた。
不安定な姿勢のキス。自然と掴んだ手に力が入ってしまう。


「キスしたかった?」
彼のその言葉が質問であることに、私は不意に気づく。
掌までドキドキし出す。

「うん」
(あ、違うって言いたかったのに!)
「真っ赤だね(笑)」
「うん、綺麗だね(〃ω〃)」

拓也は吹き出す。
同時に私は自分の間違いに気づいて、ますます赤くなる。

「夕日じゃなくて(笑)」
「……分かってるし……」

恥ずかしくて悔しいから、今度は私からキスをする。
「あのね、ちょっと屈んでよ」

拓也は何食わぬ顔で、私の腰に手を回して支えてくれる。


(完全に私の負けだわ……)
(拓也、大好き)
私は心の中で呟く。絶対に声に出したりしない。
だって答えは分かっている。

「知ってるし(笑)」
拓也は全力の笑顔で、そう言うに違いないから。


ん〜っとね?
負けず嫌いの拓也に負けてあげるのは
本当は……私の勝ちなんだと思うけれど(笑)

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「明日の結婚式、楽しんできてね」
「もちろん」
「んで、愛子さんによろしく言っておいて(笑)」
「ん?栞がよければ紹介するし」
「いいの、今度ね」
「その代わり、思い切り私のこと自慢してきて」
「了解


「明日は快晴だね!」

手を繋いだ2人の影が『M』を描いていた。